
今年も予選会でデザインの審査をさせていただくが、年毎に進化する参加耐力壁に関心させれれることが快感となってきたひとりのファンとして予選会の見所を、図面と壁の概要を見ながら(勝手に)予測しておこうと思う。(審査はあくまでも実物を見てからということはいうまでもありませんよ。)
予測しておくことで、良い意味でも悪い意味でも予測を裏切られたときの想定外の面白さがあり、これがカベ道楽が病みつきになる原因となっているのかもしれない。また、ドンピシャと当たったときには快感になることはもちろんいうまでもない。図面だけでは、実物の加工や施工の工夫はわかりにくいところもあるけれど、このブログに書き込むのことで予備情報を頭に入れるにはよい機会となる。今週末が楽しみだ。
参加壁名とチーム名も確定した資料を手元で見ながら、主な見所を勝手に探ってみよう。
| ※最終的な情報は、当日までに変わっている可能性もありますのであくまでも、現時点での情報というところです。 |
■第1日・・・9月21日(金)
08:00 金魚(品種改良) / ti-mu nikken(日本建築専門学校)
09:00 体力壁 / エコハウス
10:00 無(ムッ!) / 潟ー建築工房
11:00 ぬき×ぬき / ハウスプラス
12:00 千鳥 / チームA.C. (岐阜森林アカデミー)
13:00 開口一番 /チーム匠(東大木質材料学研究室+JAHBnet(ジャーブネット)+篠原商店 )
14:00 洗濯板 / チーム匠
15:00 破壊王ISAO / 住構研
16:00 イタラー /チーム匠
17:00 スパイダーマン /東大院生チーム
トップバッターの「金魚(改良品種)」は昨年総合優勝の日建の改良版と考えてよいのかな。柱脚はすでに日建の標準仕様化した雇い材によるもののように図面からは読める。この柱脚の安定した性能を生かしながら粘る壁として、予選突破を狙うという意図だろう。・・・。
昨年の強度部門を「隠れ筋かい」で優勝チームの東大+アキュラチームが新編成(?)のチームで4体の壁を持ち込んでくるようだ。強度部門のディフェンディングチャンピオンとして予選突破は当たり前での参戦だろう。「開口一番」は「隠れ筋かい」の改良版のようにも見える。予選突破の鍵は、大きな耐力確保よりもある程度の耐力(20KN前後)で変形しながら粘りきって総合点を稼ぐことが求められるように思われるが、どのような工夫があるのかを見てみたい。・・・。
「洗濯板」は板壁になるが、壁のタテ断面で板がジグザグに配され、洗濯板状態になっていて、落とし込みではなく、組み込み方式のようだが、どの程度の力を発揮できるのかがポイントか?。
「イタラー」は壁名称の意味がよくわからないが、アムラーと同じで、板ラーかな?厚さ40ミリ、60ミリで巾広の厚板を用いた壁のようだ。史上最強の耐力壁を目指すと書類に記されていることからも、今年はイタラーを本命としているらしい。
「スパイダーマン」は蜘蛛の糸をイメージしたデザインを麻縄で表現している。目標は10KN突破(予選の脚きりライン)としているが、過去の例から考えると、10KNを突破できれば総合点では上位を目指せる可能性は大。麻縄にテンションをかけながら固定する工夫がポイントだが、麻縄の扱いはすでに経験済みの彼らには、お手のものだろう。
商品名「鬼に金棒」という真壁造の構造材あらわし工法で使える引きボルトを開発したユー建築工房が「無(ムッ!)」で参戦。壁を角材でタテに3分割し、その間に厚板の落とし込み。各部接合にはもちろん鬼に金棒を使っている。落とし込み板の形状に特殊な工夫があり、どのような答えがでるのか興味深い。
ハウスプラスの「ぬき×ぬき」は4本柱のタイプ。工夫した貫で耐力要素としようという壁。複数本の柱タイプは基本性能が高いこともあり、過去にもさまざまなアイデアが出ている。
チームA・Cの「千鳥」は壁名のごとく貫、添え柱で格子を組み、格子に市松状に板をはめ込むことで、耐力要素の剛性を確保しようとしている。ナラボルトという新機構が概要書に見られるが、どういったものなのか楽しみだ。
住構研の「破壊王ISAO」も4本柱型といえる。28ミリの厚合板で柱脚、柱頭の変形を拘束しながら、中央にはめ込んだ9ミリ合板で頑張ろうという壁か。金物なしでカシの込み栓で固めようとしている。過去3年間の成果を出し切れれば予選突破が見えてくる。
初日の壁の結果は、予選突破を考えると4位ぐらいには位置しておきたいところだろう。しかし、なんでこんなところが壊れるの?参加者にとって予想外の事態が起こることがさまざまな場面であり、過去にもドラマがあった。昨年の2部門のチャンピオンが初日でぶつかることになり、残り19体の壁の行方を左右する高いレベルの戦いが予測される。
■第2日・・・9月22日(土)
08:00 貫璧(KANPEKI)/ 東京工業大学坂田研究室
09:00 GORI-WALL /ポラス建築技術訓練校
10:00 たこはち / 東北職業能力開発大学校
11:00 よこしまん / 武蔵工業大学 大橋研究室
12:00 Trump/ 四国能開大
13:00 ドカポン / 東北職業能力開発大学校
14:00 枠縁 / ポラス
15:00 CROSSLIM / 東京工業大学坂田研究室(壁志隊2)
16:00 短足(短柱)の行進 /ポラス暮し科学研究所
17:00 1年越しの想い / 10代目 日建
2日目は、大学、専門学校、企業内訓練校など学生のグループが8体参戦する中に、古豪のポラスがドッかと座っているといった感じだ。「短足(短柱)の行進」という壁は新しい発想で、短い柱を縦に重ねて耐力壁を構成するというもののようだ。耐震補強などでの活用も想定されているという。図面だけでは、接合部の工夫までわからないが、毎回さまざまな工夫を見せてくれるポラスは必見。特に、昨年の雪辱を決勝で果たすことが彼らにとっては最優先の課題?ではないだろうか。
この日は、斜材を主要な耐力の要素としているものは「Trump」と「CROSSLIM」で他は部分的に斜材で補強したり、「たこはち」のように貫との合わせ技で工夫しているものも見られる。だが、縦横の部材構成だけで斜材なしというものも半数の5体と粘り型の壁が多い傾向があるようだ。
足切ラインの10KNをまず超えて、20KN付近で壊れずに粘り切れるのかが予選突破のポイントとなると思われる。同じような加重曲線の傾向を示す壁も多いように思われるが、初日の10体を超えて6〜7位以内に入り込めるのかが最終日を前にした参加者にとってもっとも気にかかるところだろう。
■第3日・・・9月23日(日)
08:00 竹数寄屋ねん / 木造建築スタジオ (岐阜森林アカデミー)
09:00 格子貫 / 木造建築コース(東大)+田中建築
10:00 おーい・ヤッホー/ 杉Grup
11:00 木の字 / 木造建築コース+金子建築
12:00 ダイヤモンド・ブレース / M&SD研究室
13:00 建研の星 /春工建研
14:00 シンプルU / SAM/平成建設
15:00 仁王立ち/ 杉Grup
16:00 ペケペケ/ SAM/平成建設
最終日は、大学2校4体と高校1校体が、強敵の建設会社2社4体に挑むといったところだろうか。壁の性能もさることながら、組み立て、解体といったプロの手際のよさは、学生諸君にとっても大いに参考になるはずだ。
また、高校初出場となる春工建研の「建研の星」がどの程度の順位に食い込むのかは注目したい。
SAM/平成建設が金物を用いない壁「ペケペケ」で参戦。斜材を用いた壁はお得意だが、金物を用いずにというところは、新たな挑戦として期待したい。鋼材のブレース壁「シンプルU」はSAM/平成建設の一つのテーマとして毎回さまざまに形を変えて登場している。
29体が戦いを終えた後の結果がどうなっているのかは実のところ予測不能だ。ただし、予選通過順位での得点差は僅差の勝負になるだろうことは間違いないだろう。当日の施工、解体の時間の短縮は大きな要素になってくるのではないか。また、要項やQ&Aをしっかりと読み込んでおいたかどうかも、勝負が僅差になるときには大きな要素となってくるだろう。こんなルールがあったのといっても後の祭り。参加経験の少ないグループには、もう一度そのあたりの確認をおすすめする。手前味噌だが、このブログの中にも読み方によってはヒントがきっとあるはずだ。
戦いは解体後の計量が終わるまで粘れるかどうかが勝負の分かれ目になるかもしれないな〜、と図面を見ながらそんなことを思った。
戦いの様子は、従来どおりに掲載予定でいますのでお楽しみに。







